ポルトガルワインの基本
ポルトガルは古くからイギリスとの交易で発展したワイン大国。
「ポート(Port)」や「マデイラ(Madeira)」といった酒精強化ワインが有名ですが、近年は高品質なスティルワインも世界的に評価されています。
地理と気候
- 位置:イベリア半島西部、スペインの西隣
- 気候:北部は冷涼で湿潤、南部は温暖乾燥
- 特徴:大西洋からの海風と標高差によって、酸を保ちながら熟したブドウが育つ
ワイン法(分類)
- D.O.C(Denominação de Origem Controlada):統制原産地呼称
- I.G(Indicação Geográfica):地理的表示ワイン
- Vinho de Portugal:テーブルワイン(地理的表示なし)
主要赤ワイン産地
ドウロ(Douro)
ポルトガルを代表する赤ワインの産地で、ポートワインの原産地としても知られます。
- 主要品種:トウリガ・ナショナル、トウリガ・フランカ、ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)
- 特徴:黒系果実、スパイス、ミネラル感のある濃厚なフルボディ
- 土壌:シスト(粘板岩質)
- 試験ポイント:「ポートとスティル赤の両方を生む地域」として覚える
アレンテージョ(Alentejo)
ポルトガル南東部に位置する温暖な産地。
近年はモダンスタイルの果実味豊かな赤ワインが注目されています。
- 主要品種:アラゴネス(テンプラニーリョ)、トリンカデイラ、アリカンテ・ブーシェ
- 特徴:完熟果実、柔らかなタンニン、親しみやすい味わい
- 試験ポイント:「南部=温暖・飲みやすい果実味豊かなスタイル」
主要白ワイン産地
ヴィーニョ・ヴェルデ(Vinho Verde)
ポルトガル北西部の冷涼産地で、軽やかで微発泡の白ワインが特徴。
“ヴェルデ(緑)”は「若いワイン」を意味します。
- 主要品種:アルヴァリーニョ(Alvarinho)、ロウレイロ、トラジャドゥラ
- 特徴:青リンゴや柑橘の香り、軽快な酸味、やや微発泡
- 試験ポイント:「若飲みの白ワイン」「軽やか&微発泡」で覚える
酒精強化ワイン①:ポート(Port)
世界三大酒精強化ワインのひとつ。
発酵途中でブランデーを加えて発酵を止め、甘みを残したワイン。
生産地
- ドウロ渓谷(上流域:Cima Corgo、Douro Superior)
主要品種
- トウリガ・ナショナル、トウリガ・フランカ、ティンタ・ロリス
製法の特徴
- 醗酵中にブランデーを添加して発酵停止
- 熟成場所はポルト近郊のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア
- 熟成法によりスタイルが分かれる
主なスタイル
| タイプ | 特徴 | 熟成法 |
|---|---|---|
| ルビー・ポート | フレッシュで果実味豊か | 短期熟成 |
| トウニー・ポート | 琥珀色。ナッツ・カラメル香 | 長期酸化熟成 |
| レイト・ボトルド・ヴィンテージ(LBV) | 単一年、長期熟成型 | 樽熟4〜6年 |
| ヴィンテージ・ポート | 単一年産の最高級品 | 瓶内長期熟成 |
- 試験ポイント:「ルビー=還元」「トウニー=酸化」
酒精強化ワイン②:マデイラ(Madeira)
大航海時代に誕生したポルトガルの伝統ワイン。
船の赤道通過中の熱で風味が変化したことから、加熱熟成 が特徴になりました。
製法
- 発酵途中でアルコール添加 → 熟成中に加熱(カンテイロ法またはエストゥファ法)
主なスタイル
| 品種 | タイプ | 味わい |
|---|---|---|
| セルシアル(Sercial) | 辛口 | シャープで酸味高い |
| ヴェルデーリョ(Verdelho) | 中辛口 | 香ばしさと酸のバランス |
| ブアル(Bual) | 中甘口 | ドライフルーツ香 |
| マルヴァジア(Malvasia) | 甘口 | 濃厚でリッチな甘み |
- 試験ポイント:「加熱熟成」「品種=甘辛の順」でセット暗記
ポルトガルワイン試験対策まとめ
| タイプ | 主要産地 | 品種 | 特徴 | 覚えるポイント |
|---|---|---|---|---|
| 赤 | ドウロ | トウリガ・ナショナル | 力強くミネラル感 | ポートの原産地 |
| 赤 | アレンテージョ | アラゴネス | 果実味豊かで柔らかい | 温暖産地 |
| 白 | ヴィーニョ・ヴェルデ | アルヴァリーニョ | 軽快・微発泡 | 若飲みワイン |
| 酒精強化 | ポート | トウリガ系 | 甘口・酸化/還元熟成 | 熟成法の違い |
| 酒精強化 | マデイラ | 各品種 | 加熱熟成・複雑 | 甘辛順で分類 |
試験対策のコツ
- ポルトガルは「酒精強化ワイン(ポート・マデイラ)」が最重要!
- スティルワインでは「ドウロ=濃厚赤」「ヴィーニョ・ヴェルデ=軽快白」と対比で覚えると整理しやすい。
- 品種名が難しいので、音の響きで覚えるのもおすすめ。
例:
- トウリガ・ナショナル → トップクラスの赤
- アルヴァリーニョ → 北の爽やか白
- アレンテージョ → 南の果実味系
まとめ
ポルトガルワインは「多様性」と「伝統製法」が鍵。
ドウロやアレンテージョのスティル赤、ヴィーニョ・ヴェルデの軽やかな白、そしてポート&マデイラという酒精強化ワインの4軸で整理すれば、試験でも得点源になります。

コメント